『スイッチバック大全』刊行されました。
2024年08月30日
前回の活動報告から1年も経ってしまいました。要はこの1年間、ほとんどこの『スイッチバック大全』なる書籍作りに邁進していたわけです。それがようやく今月17日に上梓されましたので、最新のご報告をさせていただきます。
この1年間と言いますが、この書籍に向けた動きはすでに四半世紀前くらいからスタートしておりました。この書籍の基礎となった「I love switchback」という口に出すのも少し恥ずかしいサイト(http://www5f.biglobe.ne.jp/~switchback/ ※ただし開店休業中です。そしてこの度の書籍刊行を終えて、完全に畳むか、リニューアルすべきかを思案中です)をスタートしたのは、前世紀のラスト近くでした。その時の素材が今回の書籍の核になりました。
書籍化に当たって、改めて素材提供をお願いすることの苦労は、同書籍の後書きに記しましたので、ここでは割愛させていただきます。それ以上に「編集」という作業について再認識したので、その辺を少し書かせてください。正直、出版業界に長く在籍していたので、書籍を出すこと自体への特別の思い入れはあまりないというのが本音です。ただ、今回のように「著者側」に回ったのは初めてのことなので、そこは不思議な感じではありました。要は僕の担当編集者として版元の社員の方が存在し、さらには栗原景さんという僕よりも遥かに鉄道の知識もあり、鉄道書籍作りにも長けている方が、僕の作業を支えてくださる体制が取られました。つまり、これまでなら漫画家の方に「早く原稿あげてくださいよ。先生ぇ!」と催促する側だった自分が、今度は「こだわり過ぎないで、早く先に進んでください!」と怒られる(指導される)立場になったわけです。正直、これは新鮮でした(そして今後は漫画家の方々に以前より優しくなれそうな気持ちになりました)。
しかし、しかしです。一方では、今回、自分の肩書きを「編著」としましたが、この書籍の性格からすれば、僕自身の役割は「著者」というより完全に「編集」なのです。それは漫画の編集どころではなく、もっと本質的に編集作業です。「集めて編む」これが今回の『スイッチバック大全』における僕の作業の肝です。要は「集める」ことに四半世紀を費やし、その集めた素材を「編む」ことに1年(とは言いませんが、3年間くらい)かけたのが、今回の仕事でした。その集める作業を一つ一つ挙げていったら、それだけで文庫本1冊は優に書けるくらいです。まさに涙と笑いの大叙事詩でありますが、そのストーリーを支えているのが「スイッチバック愛」ですから、自分以外の誰にもついてこれない文庫本になるでしょう。そこは自信があります。
ちなみに四半世紀も費やした愛の作業ではありましたが、それでも集めきれない、というより見つけられなかったピースも数多くありましたし、その意味で「大全」などと大仰なタイトルをつけた割に不完全な部分を多く残した1冊でもあります。
僕が生まれて初めて作家側と編集側の両方に足を広げて股裂になりそうな貴重な経験をした今回の『スイッチバック大全』なる書籍。そんなことも想像しつつ、是非是非、ご一読いただければ嬉しいです。